薄暗い部屋の中で、彼女の肌は青白く光を放っているごとくに見えた。
女体独特の曲線が、艶かしく浮き上がっている。
甘寧は見惚れそうになる自分の視線を、引き剥がすように彼女から逸らした。
「見て!甘寧!こっちを見てよ!!あたしはそこまで子供!?あんたに相手にされないほど子供なの!?」
は先程と同じ言葉を繰り返し口にした。
甘寧はに背を向けるようにして寝台の隅に座っている。
「オメェはまだ酔ってんだよ、・・・。さっさと服来て寝ちまえ。」
「・・・・っ甘寧・・・・!」
彼女に背を向けたまま甘寧が立ち上がり、振り向きもせず扉に向かう。
「甘寧・・・・!!!・・・・・・・っ・・・」
は再び彼の名を口にし、その途端に我慢出来なくなったように涙を浮かべた。
「!!おい、・・・・・・?」
涙声に気付いた甘寧が、チラリと彼女に目を向ける。
「・・・・・・・・・・っ・・・・行きなさいよ・・・・・!!行けばいい・・・!!」
言葉とは裏腹に、幾筋もの雫がの頬を伝う。
彼女はそれを食い止めようと、唇をきつく噛み締めた。
だが、視線だけはしっかりと甘寧を睨むように捕らえている。
「・・・・・・。」
「出て行くなら行って・・・・・・・。」
「チッ・・・涙流してる女を置いて行けるかってんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・『女』じゃなくて、『ガキ』でしょ?」
口を僅かに歪めて笑い、が言った。
その間も涙が止まることはなく、彼女は両手に拳を握る。
「・・・・・・・・・・、オメェいい加減にしろよ。
・・・・・・・頼むから服を着るか隠すかぐれぇしろ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから・・・・もう出ていけばいいじゃない・・・・・。
ガキの事なんか気にせずに・・・・・・・・・・。」
甘寧はから目を逸らすと、再びチッと小さく舌打ちをした。
「だぁーもー!!マジで犯っちまうぞ!!オメェは!!!」
彼は苛立った口調でそう怒鳴り、寝台まで大股に歩いて来るとそこで足を止めて彼女を見下ろした。
「!!」
潤ませた瞳を瞬くの頬に、またしても幾筋もの涙が伝う。
その目に僅か、怯えの色が宿った。
甘寧の片手が上がり、の細い肩に触れそうになる。
「・・・・っ!?」
だが、その手は彼女の肩を通り越し、寝台の奥に脱ぎ捨てられた衣服へと伸びていた。
「・・・・・・ったく、ビビる位なら、最初っから挑発するような真似すんじゃねぇよ。
おら、さっさと着やがれ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
甘寧は掴んだ衣服を彼女に押し付ける形で手渡した。
「・・・・・・・・・・・・ムカつく・・・・・・・・・。」
「・・・・・あ?」
「そうやって優しくされるなら・・・放っておいて出て行ってくれた方が楽なのに・・・・。
さっきだって・・・・・幾ら私が鈴を掴んでたからって言っても・・・・、
私を叩き起こしてでも・・・部屋から出て行けば良かったじゃない・・・。」
ムカつく、と彼女はまた繰り返すように小さく呟いた。
甘寧が軽く溜息を吐き、寝台の脇に再度腰を下ろす。
「・・・・・・・オメェがガキなら・・・・・わざわざ俺がここまで送って来たりしちゃいねぇよ・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「オメェは覚えちゃいねぇだろうが、部屋まで送れと言い出したのはオメェからだった。
けど、俺は呂蒙のおっさんに説教垂れられてる途中だったし、
他にも何人か素面の連中が居やがったからそいつ等の1人が送ってやるってことになっちまってたんだ。」
彼女に背中を向けたまま、甘寧はそう説明した。
が手にした衣服をやっと着始めているのが、彼には気配で分かった。
「・・・・・・・??じゃあ、何で結局甘寧がここまで・・・?」
彼女の問いに甘寧が少し間を置いて答えた。
「・・・・・・・・・・酔い潰れてるオメェを、他の男に渡すなんざ出来なかったんだよ、俺は!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暴れるから?心配だったの?」
「違ぇっつんだよ!!確かに心配だったが、暴れるからじゃねぇ!!
普通この先言わなくても分かるだろうが!?」
再び苛立ちを見せる甘寧にはムッとして言葉を返す。
「悪かったわね!分かんないから訊いてるのよ!」
「ああそうかい、分からねぇってんなら教えてやるぜ!こういうこった!!」
「っ!?」
突然甘寧が彼女の方へ振り向き、乱暴に肩を掴んだ。
声を上げる暇もなく唇に当たる生暖かく柔らかな感触。
だが、それはすぐに甘寧本人のてによって引き離される。
「甘寧・・・・・・・・。」
「好きな女が酔い潰れて他の男に送られる姿なんざ見たかねぇ。」
「・・・・・・・・好きな・・・・・・・・・・?私・・・・・・・・?」
「他に誰か居るのか?ったく、世話が焼けるぜ・・・・・・・、まぁ半分は俺のせいだけどよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、いっつも『ガキ、ガキ』って・・・・・・・。」
いつの間にか涙は止まり、拳を握る手を緩めて彼女は言った。
「俺の中で『ガキ』にしといたまんまの方が都合が良かったんだよ、
・・・・・・・実際俺とオメェは7つも歳が離れてるんだぜ。」
「・・・・・・・・そうだけど・・・・・・・でも・・・・・都合が良かったって言うのは・・・?」
甘寧の顔を覗き込むようにしてが彼をみつめる。
彼女が腰を動かした一瞬に、軽く羽織っただけの衣服が再び僅か乱れた。
甘寧は敢えて其方に目を向けないように努めた。
「・・・・・・・・・・・俺は加減が出来る性質の男じゃねぇ、
1度滾っちまえばとことんまで突き進んじまう。例えオメェが嫌がってもな。」
「・・・・・・・・・だから距離を保ってたの?」
「おぅ・・・、・・・・・・・分かっただろ?俺はもう行くぜ。」
そう言って立ち上がろうとする甘寧を、は彼の首もとの鈴を掴んで引き止める。
「いでっ・・・!!おい!テメェなぁ!!!」
「どうして・・・・そこで出て行こうとすんのよ・・・!?」
「あ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃない・・・・・・・・・・。」
「・・・??」
余りに微かな声で呟くに、甘寧は彼女を見下ろしたまま聞き返す。
は顔を首まで赤くして叫んだ。
「いいじゃない!!突き進めば!!私は嫌がったりしないっ!
甘寧だったら・・・・なっ・・・・・何されてもいいもの!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
暫く黙って甘寧は彼女を凝視した。
は彼を見上げたまま、恥ずかしさで視線だけを逸らす。
「・・・何とか言ってよ・・・・・・・・・。」
だが、それに答えず甘寧は唐突に彼女の両肩を掴んだ。
「っ!?かん・・・!?
掴んだ両肩からそのまま衣服を乱暴に左右下ろして脱がされる。
驚くに、甘寧はその唇を荒々しく奪った。
「・・・・・・・・っ・・・」
が息苦しさに息を弾ませる。
そこで甘寧は唇を放して囁いた。
「・・・・・・・・・・言ったはずだぜ、。
1度滾ったら止められねぇってな・・・・・・・・・・。それをたった今、オメェが起爆させちまった。
望み通り、突き進んでやるから覚悟しとけ・・・。」
は頷くと、自ら彼に唇を重ねた。
(壊れても、いいから -終わり-)
後書き
・・・・お題から結局逸れて(以下略)
・・・・またキャラ増やす所か(以下略)
まさかここまで長くなるとは思いませんでした。
凌統夢『まるで花弁のように』の甘寧バージョン。
私の書く2人は、甘寧→理性どうにか保つ、
凌統→ほとんど本能に傾く(理性保つ気なし)
って感じがあるのですが・・・気のせいか?
でわ、ここまでのお付き合い誠に有り難うございました!
失礼致します。
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