「よぉ、お目覚めかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

が目を覚ましてすぐにそう声を掛けられ、
彼女は一瞬状況が理解出来なかった。
ただ、自分が今の今まで眠っていたこの寝台が自分のものではなく、
そして勿論ここが自室ではない事も理解できた。
だがそんなことよりも彼女を混乱させたのは、
彼女と同じ寝台の上に自分以外の人間が居ることだ。

「・・・・・・・・・何・・・!?どうしてっ!?凌統・・・!?」

がばりと起き上がり、隣に居る人物の名を口にする。
凌統はそんな彼女の様子を半ば楽しんでいるごとくに眺めていた。

「どうしてって言われてもねぇ、ここは俺の部屋だ。居てもおかしかないだろ?」

言って、彼は小さく欠伸をする。
は呆然とした表情で彼を見て、ふと視線を下に移した。

「凌統!!」

乱れきった着物に、肌蹴た胸元。
彼女は混乱しきった様子で再び声を上げる。

「何て格好してるのよ!?」
「何が?」
「何がって!!ちょっと!!動かないで!!」

凌統が僅かに体を動かしただけで、乱れた着物は彼の肌を見せ付けるように更に肌蹴る。
は顔を赤くして両手で彼を制した。
そんな彼女に凌統は苦笑しながら口を開く。

「やれやれ、人の事言えた格好か?あんたも。」
「・・・・・・・・・・・・・え?」
「それともまた、俺を誘ってるんだと取っていいんですかね?。」

言われた台詞には自らの身体に視線を落とした。
凌統に負けず劣らず乱れている着衣。
白い肌が露になり、胸の膨らみがほとんどすれすれの状態で見え隠れしている。

「っっっっ!!!!!!」

言葉にならない声を発し、胸元の合わせを両手でかき寄せるように隠した。
の顔は恐ろしい勢いで真っ赤になっている。

「なっ・・・わた・・・っ・・・どっ・・・!?」

余りに動揺しすぎて上手く言葉が紡げないに、
凌統がクックッと喉を鳴らして笑う。

「まぁ落ち着けって、残念ながらまだ最後まではいっちゃいない。」
「当たり前よ!!!!!!!!!!!」

寝台の隅まで移動し、がそこでやっと大声を上げた。
そして瞳は、それ以上近付けば噛み付いてやる、と言わんばかりに凌統を睨みつけている。

「・・・やれやれ、困ったもんだな、あんたも。つまり、俺が全面的に悪いって言いたいのかい?」
「・・・・・・・だって・・・じゃあ、何で私はここに居るのよ・・・?」
「今日の宴に出たことまで忘れちまった訳じゃないだろ。」
「・・・それは覚えてるわよ。それで・・・。」

眉間にしわを寄せ、記憶を辿る
宴には滅多に参加しない彼女だが、今回は君主、孫堅に声を掛けられた事もあり断われなかったのだった。
そして宴の席であちこちから酒を勧められるままに飲むはめになったのだ。

「それで甘寧の奴が何か口出ししてきて・・・、確かその後・・・・・・・・・・・・飲み比べをした気がする。
でも途中で呂蒙殿が出てきて・・・もう止めておけって・・・・。」
「正解。で、結局勝負の途中で呂蒙殿が甘寧に説教し始めた訳だ。ま、ありゃ自業自得ってヤツですかね。
・・・問題はこっから先、その後の事は覚えてんのかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

は眉間のしわを再び深めて考える。
その先の記憶が曖昧過ぎて口にする自信もなかった。
その様子に凌統が深く大きな溜息を吐く。
それはいつもの演技めいたわざとらしいものとは少々違った。

「参ったね、本当にそっからの記憶がないって訳ですか。」
「・・・・・・・・・・・・凌統が部屋まで送るって・・・・・・言った・・・・・・ような・・・・・気がする。」

ボソボソと口を開き、は自信がなさそうに凌統にちらりと視線を向けた。

「そらちょっと違うぜ、俺が、じゃなくてあんたが送れって言ったんだ。」

そうかもしれない、と思いながらもは返事が出来ずに黙って凌統の次の言葉を待った。

「で、俺の部屋を通りかかった時にあんたが俺の部屋で寝ると言い出したんだが・・・、
どーせ覚えちゃいないんだろ?その先は説明せずに分かってくれると有り難いんだけどな。」

の赤かった顔が、凌統の話が進むにつれみるみる間に真っ青になっていく。
つまり、こんな状況になった原因はほぼ彼女自身にあると言うことだ。

「最悪・・・・・・・・・・・・・・。」

口元を片手で押さえ、は呟くように言った。

「・・・『最悪』・・・ねぇ・・・。
あんたにとっちゃ俺とこうなってんのはそういう言葉で表すしかない出来事って訳だ。」

凌統は不機嫌にそう言い放ち、彼女に背を向けて寝台から立ち上がった。

「え!?凌統!?」
「ここはあんたに貸してやるよ、俺は他で寝るから安心して寝ちまっていいぜ。」
「何言ってんのよ!?それに出て行くなら私が出て行く!」
「行く先は無いわけじゃない、これ以上『最悪』にはあんたもなりたかないんだろ?」

肌蹴た着物を整えながら、凌統がを見もせずに言った。
は寝台の隅から素早く凌統の傍まで移動し、彼の着物の袖を掴む。

「違うわよ!!違うの!!そうじゃなくて!」
「はいはい、慰めなら要らないぜ、余計に惨めになるんでね。」

凌統はそう言って、自分の着物の袖を掴んでいる彼女の手をそっと振りほどこうとした。
だが、は空いた片手でその彼の手をも掴む。
そして凌統が口を開くよりも早く彼女は叫んだ。

「だって行きずりみたいじゃない!」

「・・・・・・・・・・・・・行きずり?」

の言葉の意味が判らず、凌統はきょとんとした顔でオウム返しに言った。
彼女は彼の袖を掴んだまま小さく頷いた。

「だってそうでしょ?・・・酔っ払った勢いで・・・さ・・さ・・・誘って・・・、
しかもそれを覚えてないなんて・・・。はしたないにも程があるわ・・・!」

はそこまで言うと、凌統から目を逸らすように俯いた。
袖を掴んでいる彼女の手が小刻みに震えている。
つまり『最悪』という言葉は、凌統ではなく彼女自身に向けられたものだったのだ。
凌統はその意味を理解し、不意に口元をほんの僅か緩めた。
そして再び寝台に腰掛ける。
が俯いたまま更に続けた。

「凌統だって・・・そう思ったんじゃないの?・・・・・・・軽いヤツだって・・・・・。
当然よね・・・、しかもあんたのせいにしたりして・・・・。」
「そう思ってんだったら俺も『そんなこと』はしないんですがね。
大体、据え膳食ってばっかりじゃ、後片付けも煩わしくなっちまうしな。」
「・・・・???ちょっと待って、そんなこと・・・って・・・・????」

が顔を上げ、不思議そうに彼を見つめる。
凌統がの手で掴まれた片手をゆっくり上げ、
そしてその手を彼女の鎖骨辺りに持って行った。

「凌統・・・!?」
「首元は自分じゃ見えないだろ。」

肌蹴た襟元に手を掛け、更に胸元を広げさせる。
は驚きながらも抵抗しようとはしなかった。

、これがあんたの疑問、『そんなこと』の答えだぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

凌統が広げた着物の下から現れた彼女の白い肌には、
まるで花弁の様に紅い刻印がいくつも散っていた。
それはとても艶かしく、そして美しく彼女の肌に映えて見えた。

「・・・・これって・・・・・・・・・・・・・何・・・?虫刺されじゃないの・・・?」

のそれに対する言葉はある意味で彼の予想を上回ったものだった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

あまりに下手なその切り返しに、思わず絶句した凌統。
しかしの表情はしごく真面目だ。
つまり、本気で『それ』が何を意味するのか理解していないという事だろう。

「ったく、それでよくあんな上等な誘い方が出来たもんだ。」
「なっ!?じょ・・・上等な!?」
「ああ、だがやっぱり、俺は素面のの方が楽しめそうだ。」

凌統はククッと喉を鳴らして笑い、
先程広げた着物の胸元からその手を中へ滑らせる。
それに反応してがびくりと身体を震わせた。

「っりょっ!?」
「身体に痕が付くような真似をしたのが何でか分かるかい?」
「痕・・・?痕って・・・この紅い点の事・・・?これ、凌統がしたの?」
「ああ、あんたに俺の印を付けたかったんだ。
・・・・・・・・・こうやってね。」

「!!!」

の肌に直に触れたまま腰を抱き、
凌統は空いた片手で更に着物を脱がせた。
そして露になったその肌の一部に、またしても一片の花弁を散らす。
にはその一点がやけに熱く感じられた。



「凌統・・・・・・・・・・・・・。」


「さぁて、。悪いが今回は最後までいかせてもらうぜ。」



フッと微笑んだ凌統に、は素直に身を任せた。



(まるで花弁のように -終わり-)



後書き
これは・・・微エロの範囲内なんでしょうか・・・?
しかも思いっきりありがちっぽいネタになった気がします。
しかもやっと策夢でキャラ増えるか私!?
と思いきや、またも凌統。
しかもまた睡魔のため後半微妙に記憶が飛んでます。
とりあえず3時までに更新作業終えて寝るぞ!!
・・・今回もここまでのお付き合い、誠に感謝致します。
失礼致します。


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