「興覇〜!!!とっくにお昼は過ぎてるわよ、いい加減起きて!」
甘寧の部屋を訪れるなりは言い、寝台の上の彼の布団を引き剥がした。
だが、当の本人は未だに気持ち良さそうにいびきをかいて眠っている。
はその姿を腰に手を当てて睨みつけた。
「起きろ!!このどぐされ男!!久し振りに会いに来てやれば!!」
彼女はそう怒鳴り、手にした布団で甘寧の頭部をすっぽりと包む。
そして軽く力を込めてそれを羽交い絞めにした。
「グッ!?ブハッーーー・・・!!・・・・って、おい!なんだよこりゃあ!?」
待つこと数十秒、案の定息が詰まった甘寧が驚いたように飛び起きる。
はそこでやっと手を離し、甘寧を解放した。
「!!オメェは俺を殺す気かっ!?」
「興覇!それが久し振りに会う恋人に吐く台詞かっ!?」
彼を見下ろしたまま、も負けじと抗議する。
彼女の言葉に、甘寧はふと我に返ったような表情を見せた。
「・・・悪ぃ・・・。ここ最近戦続きで仕事を溜めに溜めまくってたからよ、
陸遜に明け方までそれを片付けさせられちまってたんだ。」
「それが今まで眠ってた理由?」
「おぅ。」
「・・・・・・・・却下!!」
言って、は彼の頭を軽くペシッと叩く。
そして続けて口を開いた。
「戦続きだったのは確かだけど、仕事を溜めてたのは単にあんたがサボっていたからでしょ?
陸遜が女官がぼやいてた事も教えてくれたわ。つまり自業自得ってことじゃない。」
「・・・あの野郎・・・。」
甘寧は思わず顔をしかめて憎き青年軍師の嬉しそうな笑顔を思い出す。
はすかさずまたしてもペシッと小気味よい音をさせて彼の頭を叩いた。
「おい!!!オメェ人の頭ぽんぽん殴んじゃねぇ!!」
「うるさい!!私は怒ってるのよ!」
今更『仕事と恋人どちらが大切か?』などと言う愚にもつかない質問をする気は無い。
だが、それでもやはりどこか割り切れないものがにはあった。
そんな彼女をじっと見つめた甘寧は、彼女が怒っているのではなく、
拗ねているのだという事に気付く。
それが分かってしまえば、今までの行動も全て可愛らしいものに思えてくるから不思議だ。
「おい、、とにかくこっちに座れ。」
甘寧は自分が居る寝台の端を指し示した。
はほんの一瞬彼の顔をちらりと見やり、素直にそれに従った。
彼女が寝台に腰を下ろすと、甘寧は待っていたように後ろから彼女を抱きしめる。
「・・・興覇、私は怒ってるんだから・・・・・・。」
は振り返らぬままに言った。
だが、先程とは口調が全く違っている。
「おぅ、分かってるよ。オメェが俺にそれっ位会いたがってたことぐれぇな。」
甘寧の腕が彼女の身体をきつく抱きしめる。
彼は唇を彼女のうなじに軽く触れさせた。
「・・・・・・・・・馬鹿・・・・・・・・・・。」
長らく会って居なかったせいか、只それだけの行為にも彼女の胸が高鳴る。
「、こっち向け。」
甘寧が唇を耳元に移動させ、囁いた。
彼の湿った吐息が彼女の耳に吹きかかる。
がゆっくりと振り向くと、
すぐ間近にあった甘寧の唇が彼女の唇を待っていたように捕らえた。
そして彼女が唇を開くより早くそれを割いて舌を差し入れる。
いとも容易く捕らえられたの舌がきつく締め上げられた。
「・・・・・・んっ・・・・・・・・・・・。」
息苦しさに身悶えする、一瞬身を離した甘寧が唇をほんの僅かずらして再び囁く。
「たぎるぜ・・・オメェとこうしてるだけで・・・俺の中のもんが・・・。」
「興覇・・・・・・・。」
言葉と同時に甘寧の腕がの肢体を滑るように撫で上げる。
「・・・・・今・・・お昼よ・・・?」
「今更離せってのか・・・?無理な言い分だぜ・・・。」
甘寧は再び彼女の唇に啄ばむ様に何度も口付ける。
それは執拗に、そして貪欲に。
長い間会えなかったその時間を隙間無く埋めるごとく。
はいつの間にか甘寧の方へ身体ごと向き直り、
腕を彼の頭の後ろへ絡ませていた。
「甘寧殿。」
「「!!」」
甘寧の手がの着物の帯紐に手を触れたとほぼ同時に、
彼の室の扉の向こうから聞き慣れた声がした。
は咄嗟に扉に視線を移す。
そして、甘寧が返事をする前にその人物が更に続けた。
「もう起きていらっしゃるのは知っています。
あれしきの仕事で今まで溜めに溜めていた貴方の仕事が終わっているとは思っていませんね?
早急にご自分の執務を遂行して頂きたく参りました。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クソ軍師・・・・・・・・。」
「では、私には私の仕事がありますので。お願いします、甘寧殿。」
扉の前から人の気配が無くなると、は甘寧に視線を戻した。
「仕事(陸遜)が呼んでるわよ、興覇。」
「ケッ・・・オメェは俺にこのまま餓死しろってのか?ああ?」
『水を差された』と言って充分良い筈の状況、
だが彼の腕は未だしっかりと彼女の身体に回されている。
は思わず苦笑した。
「でもつまみ食い程度はしたはずよ。」
「馬鹿野郎、そう言うのがもっと飢えを煽んだよ。
大体俺たちがどの位会ってないか分かってんだろ?」
「よく言うわ、ついさっきまで私を無視していびきかいてたくせに。」
はそう言って甘寧からほんの少し身を離した。
そしてそのままの状態で彼を真っ直ぐに見つめる。
「で、どうするの?仕事に行くんだったら私は戻るけど。」
「ああ?オメェそれ本気で言ってんのか?」
「本気よ、興覇に任せるって意味で。」
意地悪く笑みを浮かべ、甘寧を見つめる。
甘寧はその視線を受け止めつつ口を開く。
「ズリィ女だな・・・オメェもよ、。」
「どうして?私は選択権を与えただけよ。」
「ケッ・・・俺がこの状況で、どっちを選ぶか位分かってんだろうが。」
「・・・・さぁ?言ってくれなきゃ分からないわ。」
先程よりも更に少し甘寧から身を離し、は答えた。
甘寧がその彼女の身体に回している腕に力を込めて引き寄せ、
そして唇を軽く触れ合わせた状態で囁いた。
「答えはもうとっくに出ちまってんだよ。」
言い終わるとすぐに甘寧は彼女の着物の帯紐に手を伸ばし、
それを一気に解いた。
「餓死は御免だぜ。」
(貪欲なキス -終わり-)
後書き
お題に沿っているのか謎な(以下略)
キャラを増やすはずが(以下略)
最初はほとんどギャグ風だったはずが、
急展開と言うか無理矢理くさくてすみません。
しかも陸遜・・・キャラ性格掴めてないのバレバレ・・・。
ううう・・・本当に申し訳ないです。
でわ、今回もここまで読んで下さったお客様、
有り難うございます!失礼致します。
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