手の中にある紙にやけに濃く印刷された警告と言う真っ赤な文字、
そしてその文章の内容。
あたしはそれに何度も目を通しながら、胸騒ぎがするのを止められなかった。
『これは夢だ!』言い聞かせてるのに、それじゃ済まないって気持ちが膨れ上がって来ている。


ヒラリ・・・・ッ


『!?』

紙を手に突っ立っているあたしの頭の上から、更にもう一枚、
何か長々と文字が書かれたものが落ちて来た。

『・・・・今度は何・・・?』

【ああ!!スマン、スマン!今のは読まなかったことにして欲しいんじゃがのぅ。
もう無理かの・・・。
本当の説明はこれからじゃな、長くなるかもしれんがきちんと目を通さんと嬢ちゃんが痛い目みるぞ。
何度も言うようじゃが、これは『現実』じゃ。ある意味ではな。
前置きはこの位にして説明に入るぞ↓

[乱世を鎮めよ、さらば道は開かれん]
※そのままの意味じゃな、嬢ちゃんがこっちの世界に戻りたければ天下を統一することじゃ。】

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

あたしはそこで『説明文』から顔を上げ、思い切り怪訝な顔つきになった。
まず、この前半の触り部分を読んだ感想。


何言ってんのこの爺さん!!!???


と言う一言に尽きる。
つまりこの文章が正しいとすれば今起きてるこれは夢じゃなく、
その上あたしはこの説明文の通りにしなければ元の世界に戻れないってことになる。


嘘だ・・・嘘だ・・・・・・!!絶対嘘!!
だってこんなの現実な訳ないでしょ!?夢よね!?


紙を持つ手が震えだし、じっとりと汗をかく。
あたし自身のモノでは決してない体、
なのにその感覚は日常普通に感じてるものと全然変わらない。


『勘弁してよ・・・・・・・・・・。』


自分で出す声にさえ違和感を感じる。
なのにこの爺さんは、これを『現実だ』と断言してる。


『敵襲だぁぁぁ!!!』

『っ!!!!!??????』


突然、あたしの居る部屋の扉の向こうから、大声でそう叫ぶ声が聞こえた。
そしてそれを合図に、ドタドタと数人の人間が慌しく走り回る足音が聞こえて来る。
窓の外も急に騒がしくなってきた。


ダンダンダンダン!!!


またしても唐突に太鼓が鳴り響くように部屋の扉が連続で叩かれる。
あたしは思わず1歩、よろけるように後退った。

『こっ今度は何!?』


殿!!奇襲です、至急門前へ!!太史慈殿は先に向かって守りを固めています!
我々は迎え撃つ準備を整えます!!』

『!!!』


緊迫した声で扉の向こうから聞こえてきたその声に、あたしは耳を疑う。

『り・・・くそん・・・?』

まさか、とは思いながらもあたしは確認せずにはいられなかった。
ここ最近、ハマりまくったあのゲーム。
ほとんどの武将の声に聞き覚えあるし、よく聞き分けることも出来る。

『そうです、殿!とにかくお急ぎ下さい!』

あたしの質問に答えた彼の声はやっぱりどう聞いても三國無双に出てくる軍師、
『陸遜』そのものだった。
しかも向こうもそれを肯定している。

『嘘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
『私は先に城門へ向かいます!』

その言葉と同時に、部屋の前から走り去る人の気配がした。
あたしは急いで扉を開け、廊下に飛び出す。
そして目にしたその背中は、紛れもなくゲームで目にした陸遜そのもの。
違うのはそれがあたしと同じ位の背の高さだと言う事位だ。

『・・・・・・・・・・・・・・何これ・・・・・。』

様ぁ!!!早く城門へ!!!!!
このままでは城が乗っ取られてしまいますっ!!!』

周りで走り回っている兵士の1人があたしに向かって叫ぶ。


・・・・って、そんなこと言われても・・・どうすれば・・・・・。


『!!あのお爺さんの説明文に何か書いてあるかも!?』

【仲間は既に集まった状態じゃから安心のはずじゃ、では・・・・・・・・・】

違う!!!ここじゃない!!!

【戦時の武器についてじゃが・・・】

『これだ!!』

思わず声に出して叫び、あたしは無我夢中でそれに目を通す。

【嬢ちゃんの右手にある指輪を外して、装備したい武器を使用している武将の名前を口にするのじゃ。
武器レベルは嬢ちゃんがゲームでどれだけいい物を装備していたかによるがの。】

右手の指輪!?

確かに、右手には中指に銀色のやけにゴツめな指輪がはまっている。
今までそんなことを気にしてる余裕さえなかったけど。
あたしは素早くそれを指から抜き取った。
そして指輪を掌にのせたままで考える。


あたしがエディット武将『』に装備させてて、
しかも武器レベルが1番高かったのは・・・・・・・・・。
それだけじゃ駄目だ・・・、使いやすかったヤツじゃないと・・・。


本当に可笑しな話なんだけど、こんな時に限ってそれが思い出せない。
慌てすぎてて、パニくりまくってるせいだと思う。


・・・・えーっと、凌統だった!?
あ、違う・・・甄姫!!んー・・・っ月英・・・!?
違う!!違う!!違う!!!


『・・・・・・姜維だ!!!!!!』



カッ・・・・・・!


『!!!』



あたしのその言葉に反応する様に、声と同時に瞬時にして指輪が眩く輝き出す。
それはもう、目を開けていられないほどの光だった。


そして、次に恐る恐る目を開けたその時には、あたしの右手には槍が握られていた。
ゲームの画面でしか見たことのない姜維の槍が。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』


言葉を失くしてあたしはその槍を凝視する。
全くここは一体何が起きるのか予想が出来ない。


さまぁぁ!!!!!!!』


再び周りに居る兵士の1人があたしに向かって声を上げた。
あたしは槍を握り締め、走り出す。

『分かってる!!今行くわ!!!』



これが夢だろうと現実だろうと、今はとにかく城門まで行くしかない。
ここに突っ立っていても何も始まらない。

何が始まろうとしているのかも全く分からないまま、ただあたしは走った。




その先にあるこれから始まる物語がどんな物かも知らずに。




(大き過ぎる1歩-終わり-)



後書き
・・・またしても呉キャラ登場せず。(陸遜声のみ・・・。微妙)
次回こそ出ます!・・・すみません、最初は全キャラ共通の話なので許して下さい。
オリキャラしか出てないってどうなの・・・本当に申し訳ないです。
でわ、今回ここまで読んで下さったお客様、毎回本当に有り難うございます!
失礼致します。


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