城門に辿り着いた頃には既にそのすぐ外で激しい戦闘が行われているようだった。
生の鬨の声ってヤツを、あたしはその時初めて聞いた。
それもまぁ当たり前ではあるんだけど。

、待っていたぞ。』
『!!!!!!!』

その場に到着したばかりのあたしに最初に声を掛けてきた人物は、
そんじょそこらの女よりずっと綺麗な顔立ちの軍師だった。
あたしは思わず目を見開いて彼の姿を凝視した。
そして、ついさっき陸遜の声を聞いたときと同じようにかすれるような声で彼の名を口にする。

『周・・・瑜・・・!?』
!何を呆けた様な表情をしている!?
早急に城外に向かい、太史慈を援護せよ!!』

言った周瑜が片手で外を指し示す。
あたしはごちゃごちゃ考え出すより早く、
それに頷いて今度は太史慈の元へ走り出した。
とは言っても、全く冷静ではいられなかったんだけど。
走りながらも今目にした周瑜の姿に頭は更に更にパニック状態。


落ち着けあたし、落ち着けあたし!!
おち・・・・・・・・・・・・・・・・・・着けるか!!!

『っ!!??』


あぁ〜!!爺さんホントに勘弁してよ!


気付けば周りは180度、敵と味方が入り乱れて戦いを繰り広げている。
ざっと見ても数百以上の兵たちが視界に入った。
槍を握る手に自然と力がこもる。

『我が鉄壁の守り、そう簡単に崩せると思うな!』
『あっ!』

聞き覚えのあるある武将の声。
素早く視線を走らせると、
見るからに敵兵の密集した場所にやけに背の高くてゴツい武将の姿が目に入った。
そう、太史慈だ。

『たい・・・っ・・・!』

『『『『そぉれ!!!』』』』

『!!??』

太史慈に声を掛けようと其方へ足を踏み出した途端、
またしてもある意味聞き慣れ過ぎたその掛け声が聞こえてきた。
敵兵の数人が、一列に横並びになったままで一斉に空に飛んで攻撃してきたのだ。
ゲーム画面ではよく見る光景だけど、実際やられちゃたまったもんじゃない。


ヤバイ・・・・・・!!!!!



キンキンキン・・・ッ


鋭い金属音が連続して響く。
驚いたことに、あたしはその一般兵達の攻撃を反射的に防御して受け止めていた。
手には軽い衝撃が残るだけ。
あたしは思わず自分自身に感嘆にも近い声を上げる。

『!嘘〜!!??』

が、そんな事に驚く暇なく敵兵達が次々あたしに向かって武器を振り上げてきた。

ちょっと!!??

頭はパニくってるのに、体は面白いくらい素早く動いて敵の攻撃をかわす。
そして、気付いた時には長い槍を振り回し、
敵兵を数十人近く吹き飛ばしていた。

ざくっとした何とも言えない重い手応えと、
敵兵たちの例のワァァと言う叫び声がする。
ハッキリ言って爽快感とは程遠い。
それどころかあたしはその手に残る感触に、少なからず嫌悪感を抱いた。
不意にあのクソ爺があたしに渡した説明文(間違ってくれたらしいけど)の内容を思い出した。


【真、三國無双の世界を本格的に体験できるバーチャルシュミレーション。
プレイヤーは自らが作成したエディット武将となって無双世界へトリップし、天下統一を目指す。
尚、エディット武将のレベルなどはプレイヤーが育成したものに反映している。
リアルさを極限まで求めつつ、極力流血シーンを避けるなどの配慮も有り。】


・・・よく分かんないけど・・・、
バーチャルってことは・・・これはあの爺さんの言ったとおり『ある意味』現実じゃないんだ・・・。



・・・・・・・・・・・・・極力流血シーンを避ける・・・ね・・・・。


今、こんな事を考えながらもあたしの体はまるで誰かに操られているように、
目の前の敵兵を次々と倒していっていた。
そして、説明書通り、あたしに斬られて倒れていく敵兵達は、
切り傷もなくまるでただの人形の様に地面に張り付いて転がっているのだった。
その上衣服さえ破れていないようだ。


・・・・・・ヤな感じ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


思いつつ、ふとあることに気付く。
手にしている槍が七色に光を放っているのだ。
丁度無双ゲージがたまった時の色に似てる。

殿、申し訳ない!!援護を頼む!!』
『え!?』

槍に気を取られていると、
少し離れた所から切羽詰った声で太史慈が言った。
さっきより彼の周りに居る敵兵の数が増えている。
しかもよく見れば、世間一般に言う『モブ武将』も数名混じっていた。
画面を見てコントローラー握っている状態でならまだしも、
まさか自分よりデカイ彼らの相手をさせられることになるとは思いもしなかった。

『ハァァ!!!!!!!ッタァ!!』

知らず知らず、あたしの口から気合の入った声が零れる。
その度に手にした槍から伝わってくる手応え。
ぶっ飛ばされていく敵兵達。

ザクッ・・・・


『っっ!!!!!!』


突然、背中に妙な圧迫感と衝撃が走って、あたしは数メートルほど先に吹っ飛んだ。
一瞬ホンキで息が止まった。
だけど、ついさっきあたしが倒していった一般兵達と同じく、
あたしの背中からは血も流れていなければ衣服も切り裂かれたりしてない。
そしてその衝撃を受けた数秒後、手元の槍から機会音の様な声でこう聞こえた。

[ダメージレベル1、問題なし]

『問題あるし!!!てか無双の仕方ぐらい教えなさいよ!!!』

思わず苛ついた声で槍にまで怒鳴るあたし。
その間も敵兵が数十人近くあたしの周りに群がってきた。
まるで蟻のように。


クソ爺!!!!!今度会ったら(直に会ってはいないけど)覚えてろ!!


『お願いだから散って!!!!!!!!!』


あたしが叫んだと同時に、急に体がぐんっと引っ張られるような感覚があった。
大きな円を描きながら槍を構えたまま敵兵を、敵武将を、ぶっ飛ばす。
その姿は、姜維の無双そのものだった。


『『『『『『『『『『『『『『ウワァァァ!!!!』』』』』』』』』』』』

『おぉ!!やるな!』

太史慈の賞賛の声。
それが初めて百人斬りを達成した瞬間だった。
その後、がむしゃらに敵を倒し続けた結果、
あたしは最終的に300人程の敵兵を『人形』に変えた。
戦いが終わってすぐ後、
足を引きずる思いで城に戻るあたしに太史慈が声を掛けてきた。


『さすがは鬼姫と呼ばれるだけはある!助かったぞ!』


・・・・・・・・・・鬼・・・・姫・・・・!?何それ・・・・?
・・・・・・ああもういいや・・・今はどうだっていい・・・・。


初めての戦に肉体的にも精神的にもどっぷり疲れていた。
目の前にゲームの世界でしかお目にかかれない太史慈が居るって言うのに、
感激や驚きよりも疲労感ばっかが先に出る。

『よぉ、!すっげぇ働きだったな!』
『孫策殿!その様子では其方も片付いたか。』
『ああ、まったくアイツら、親父の留守を狙って攻めて来るなんてな。』


策だ・・・・・・・!!


あたしの肩を軽く叩いて現れたのは、呉の君主、孫堅の息子孫伯符。
あたしは顔を上げ、策の方へ視線を向けた。

『お!?さすがに疲れた顔してんなぁ、
ま、無理もねぇか、おめぇの呉での初陣がまさか奇襲戦だとは俺も思わなかったぜ。
この後の片付けは他の奴らがやってくれる、おめぇは先に休んじまえよ。なぁ!?』

言った策が、ポンポンっとあたしの肩を再び叩いた。
多分策的には『軽く』、
だけど疲労困憊なあたしには、まるで岩で殴りつけられた様にとてつもなく重く感じた。



・・・・・・・・・・・結果、あたしはその場でぶっ倒れてしまった。



だからその後の記憶はない。



ただ、その瞬間に次目覚めた時はこれは夢だったと笑って言えれば楽なのに、



そう思ったことだけはやけに強く頭に残ってた。




(奇襲迎撃戦-終わり-)


後書き
やっと3話目書き終わりましたが、キャラの登場率微妙すぎですね・・・。
しかし私も送別会で飲んで帰ってきてすぐこれ書いてるから、
内容かなりうろ覚え・・・(苦笑)
早く甘寧、凌統出したい・・・。
孫策は我慢できずに出してしまいました!殿も早く出したいな・・・。
でわ、今回はこれにて失礼致します。
ここまで読んで下さったお客様!!心より感謝します。


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