不意に目覚めたベッドの上。
隣に居るはずの彼の姿がない。
一瞬、不安になって体を起こして室内を見渡した。
微かに聞こえるシャワーの音に、ホッとする。
・・・ヤだな・・・、本気で居なくなったかと思った・・・。
シャワーの音が止まって、少し経つと、タオルで頭を拭きながら、
三成が部屋のドアを開けて入ってくる。
「・・・ん?、起きていたのか。」
「たった今・・・ね。貴方こそ、いつの間に起きてたの?気付かなかったわ。」
「俺は元々眠りが浅い。あの後すぐに目覚めたからな。」
「・・・・・・・・・・・・。」
彼の言葉が生々しくて、私は思わず顔を赤くした。
今更ながら、この状況に驚いてしまう。
「何だ?」
「ううん、何か・・・変な感じって言うのかな・・・。
貴方とその・・・こんな関係になると思ってなかった・・・からね・・・。」
自分でそう口にしながらも、知らず知らず声が小さくなった。
きっと、相手が彼でなければこんなに照れくさい気分にはならない。
昔から知っている、幼馴染の三成でなければ。
「お前は後悔しているのか?俺とこうなった事を。」
ほんの少し、眉間にしわを寄せて彼が言った。
私は軽く左右に首を振る。
「まさか!だったら・・・、最初からここに居ないわよ。私は・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だ?言ってみろ。」
「・・・もう!察してよ、ホントは分かってるんでしょう?」
言って、私は頬を膨らませた。
子供の頃から知ってる仲。
幼馴染。
思春期のせいですれ違いはあったものの、お互いの思考回路状態は、
大体把握出来てる仲。
勿論、全部が全部って訳ではないけど。
「フン、生憎俺は他人の心を読む技など持ち合わせていない。」
「・・・・出たわね、この捻くれ者。いつもは『口に出さずとも分かっている。』なんて言う癖に!」
「口にせねば不安だと言っていた輩が居たはずだが、あれは俺の記憶違いか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
いつもこう。
結局、私の方が言い負かされて終わる。
ホント、不本意。
「おい、、思いに耽るのはいいが、俺はまだ答えを聞いていないぞ。」
片手のタオルで髪を拭きながら、彼はゆっくりベッドに近付いてきた。
私は咄嗟にガバリ、と、頭から布団を被る。
「無理!!あんなの一回言えばいいじゃないの!
特に聞きたくも無いくせに、いい加減私で遊ぶの止めて!三成!
いっつもおねね様に弄られてるから私で憂さ晴らししてるだけでしょうが!」
「フン、下らぬな。つまりお前はどうしても口にせぬと言う訳か。」
布団を被ったまま、私は大げさにコクコクと頷いてみせる。
何だか、三成の前だと、必要以上に子供の頃に戻ってしまう私。
彼は暫くの間無言だった。
何か、企んでる、絶対。
なんて考えていたら、急にベッドの傍に立っていた筈の彼の気配が遠ざかっていくのが分かった。
そしてバタン、と、ドアの閉まる音がする。
・・・・え?・・・・って、出てった?嘘!?本気で!?
バサッ。
「三成!!!」
私は頭っから被っていた布団を自分の手で勢い良く引き剥がして、
彼の名を大声で呼んだ。
「どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・・・!?」
「俺は開けたままになったドアを閉めただけだ。」
「なっ!?」
絶句。
だけど、ドアの前の三成は、いつもの澄ました顔をしてて、
何の意図もなくやったんだって分かった。
いつも思う、だから、三成は厄介なんだ、って。
何だかんだ言って、振り回されてるのは私だ。
でも。
「三成、ちょっと来て。」
「今度は何だ?話の続きならば聞いてやらんことも無い。」
「・・・似た様な感じ。こっちに来てくれたら言うから。」
彼は怪訝そうな顔をしつつも、またベッドの傍まで近付いて来た。
「私の隣まで来てよ。」
「注文の多い奴だな。」
三成が私の隣に立った所で、私は耳打ちする様な体制で彼との距離を縮める。
「もっと屈んで。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前は一体何がしたい?」
「屈んでくれれば分かる。」
ハァ。
と、彼が溜息を吐く。
三成は屈みこむよりも、ベッドの端に座る事を選んだ。
その方が、私としては『やりやすい』
私も振り回されてばかりじゃないからね、三成クン。
「おい、いい加減に・・・・・・っ・・・!?」
羨ましい位に整ったふっくらとした三成の唇。
不意を突いて、私の唇で、塞ぐ。
と言っても、触れ合わせるだけの、キス、だけど。
それでも十分、三成の動揺を誘えた様だった。
「なっ!!お前は・・・何を・・・!?」
彼は珍しく顔を赤くして、言葉がまともに出せてない。
私は思わず吹き出しそうになるのをどうにか堪えて、
それでも内心満足気分一杯だった。
三成は昔から凄くモテる癖に、この手の事に驚くくらい純粋な反応をする。
攻めに回ると強い癖に、相手からの動きにはホントに弱い。
「口に出さずに行動で表わしてみたんだけど、気に入ってくれた?」
少しだけ、勝ち誇った顔をして、私は言った。
「貴様と言う女は・・・。」
「あはははは!」
未だに赤い彼の頬に、耐え切れなくなって笑い出す私。
三成のこんな顔を見られんのは私だけ、そう思うと、
嬉しい気持ちも先にたって、どうしても堪え切れなかった。
「ほぉ・・・、、この俺を欺くとはいい度胸だ。」
「あははは、欺くって言うか、嘘は吐いてない筈だけど。」
どうしても笑いが止まらなくてそう答える私を、
三成が突然上から押し倒して来る形でベッドに沈める。
ギッ、ギシッ。
スプリングの小さく軋む音と一緒に、私の体が少しだけベッドの上で弾む。
視界に入るのは三成の端正な顔だけ。
さすがに、この状況は私も照れずに居られない。
まだ湿り気のある彼の色素の薄い髪が私に降り注ぐ。
吹きかかる吐息が、私に昨夜の事を生々しく思い出させた。
マズイ、完全に攻めに転じられてしまった。
そんな考えが頭を過ぎる。
「この俺を揶揄するのがそんなに愉しいか?。」
「からかった訳じゃないわよ・・・。」
唇が触れ合いそうな程、至近距離にある彼の顔。
ついさっき、自分からした気軽なキスのことなんか、頭っから吹き飛んでしまった。
「フン、それにしては随分と愉快に笑い声を上げてくれたな。」
「・・・・・やっぱり、三成は三成だな、と思っただけ・・・。」
「どう言う意味だ?」
少しだけ、彼の眉間にしわが寄る。
「幼馴染の三成君は・・・可愛い所もあるなぁ・・・・って。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
彼の眉間のしわが、さっきより、深くなった。
「、お前は相変わらず普通に迂闊な女だな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・貴方が聞いたから答えたんですけど。」
そう私が口にした所で、不意に三成が私の胸元までかかっていた布団を剥ぎ取って、
ベッドの隅へ押しやった。
殆ど下着姿の私は、肌寒さで咄嗟に体を両手で抱きこむ。
「三成・・・?」
「幼馴染の、お前も己の可愛い姿と言うものを見つめ直すがいいだろう。
この俺が助力してやる。」
「え・・・!?ちょっと・・・・待っ・・・・・・・・・・ンっ・・・」
スレスレにあった唇が、押し付けられるようにして重ねられた。
有無を言わさぬ速さでぬらりと彼の舌が私の口内に入り込む。
彼の片手が下着の下のお腹の辺りから直に肌に触れ、撫でるように上へと移動を開始した。
そして、そのまま胸元に到達した彼の掌が頂の突起を指先で弄び始める。
自然と、私の身体に、ビリリ、と、弱い電流が走った。
「ァっ・・・・三・・・っ・・・も、すぐ・・・大学行く時・・・かん・・・・っ・・・」
それでもどうにか理性を保って掠れた声で訴える私。
実際、もう準備をしなければいけない時間だ。
だけど、彼は全くそれを聞き入れる気配はなくて、それどころか指先に少しだけ力を込めた。
突起の感触を、愉しんでいるみたいに、器用に指先で弄ぶ。
「屈辱だ、俺とこうしているよりも他の事に思考を奪われる余地があると?」
「・・・ふっ・・・ァ・・・そう言う・・・問題じゃな・・・・ァあっ!」
ギッ。
私の両脚を割って、絡められる彼の長い脚。
彼の舌がゆっくりと私の首筋へ這わされていく。
「三・・・成っ・・・行かない・・・と・・・っ・・・・!」
「、少し・・・黙っていろ。俺とて・・・、余裕がある訳ではないからな・・・。」
いつの間にか、少しずつ、お互いに息が荒くなっていることに気付く。
私は自然と彼の体に腕を回していた。
―私は、ムカつく位に貴方にベタ惚れなんだから。
なんて恐ろしく恥ずかしい台詞、今更口に出来やしないけど、
本音はそうなんだって、自覚しまくる今日、この頃。
(終わり)
後書き
またもや長っ!!しかもまた三成書くのにえらい手間取りました。
今回は両思い設定。三成がへっぽこな感じに(苦笑)多くは語らず逃走します。
ここまでのお付き合い、誠に有難うございます。失礼します!
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