「・・・見事な椿だな。鮮やかな赤があんたの肌によく映えている。
こうして目の前で、そして薄闇の中で見ると特にそう思う。」
「そう?有難う。この刺青を褒められるのは嬉しいわ。」
そう答えたは、元親に向け、紅色の唇に艶やかな笑みを浮かべた。
彼女の着衣は今し方元親が解いた帯紐によって胸元を中心に乱れている。
露になった彼女の双丘の右胸の豊満な膨らみの上には、
目を奪われる美しい椿の花の刺青が施されていた。
闇に咲く椿。
彼女の戦場での通り名でもある。
蒼黒の甲冑に身を包み、女だてらに大剣を武器に戦場を駆る女武将。
だが、大剣を手にし敵兵を相手にするその姿は、
獲物の無骨さを全く感じさせず、大胆でありながら俊敏で、
そして流れるような剣捌きなのだった。
対峙する将すら魅了する潔い美しさ、
更に彼女の蒼黒の鎧に椿の花があしらわれていることから、
闇に咲く椿と称されるようになった。
「思い入れがあるのか・・・?椿の花に・・・。」
「ええ、私にとって椿は特別。・・・この椿の花はね。」
「・・・・彫師と恋にでも落ちたか?」
彼はそう口にし、未だ手にしたままの帯紐を畳へと落下させ、
同時にの胸元へ唇を寄せた。
そして彼女の豊かな胸の曲線上にある赤く鮮やかな椿の花弁に舌を這わせる。
繊細で滑らかなの肌。
元親は彼女の肢体を撫でるように掌を滑らせ、
きめ細やかな磁器の肌の感触を味わう。
はその彼の後頭部に腕を回し、自らかき抱く如く引き寄せていた。
「フフン、中々鋭いことを言うじゃない元親。
だけど、この状況で女の過去を聞くなんて野暮な真似はしないで欲しいわね。」
「ふっ、つまりは図星か。そう言うな・・・俺はあんたに興味がある。
だが話したくないと言うなら今は聞かないでおこう。」
「あら、随分とすぐに引いてしまうのね。
それに元親、あんたは『興味がある』なんて曖昧な表現しか使用できない女を抱こうっての?」
ゆっくりと床へ彼女を沈める元親を見上げ、はその瞳を僅かに細めた。
そして彼女は更に続ける。
「言っておくけれど、元親。私はこう見えても火遊びには向かない女。
迂闊に手を出したら火傷じゃ済まないかもしれないわよ?」
ニヤリ。
口角を釣り上げ、笑みを浮かべた彼女のその表情はどこか彼を揶揄している様でもあり、
挑戦している様にも見えた。
されど、の黒曜石の如き瞳の奥に揺らめく炎は、彼女の言葉が真実だと告げている。
元親は彼女の頬へと片手を触れあわせ、その親指の腹で彼女の扇情的な紅い唇をそっと撫でた。
「上等。ならばあんたも覚悟を決めろ。
俺に抱かれるという事は、その身に凄絶な烙印を刻まれると言う事だ。
俺からはそう簡単に離れられないと思っていた方がいい。」
彼の整った形の薄い唇が、と同じく口角を上げる。
彼女は驚いた様にジッと元親を見つめると、やがて再びその唇で美しい弧を描いた。
「ふふ、いいわ、元親。あんたはやっぱり私が惚れた男。
嫉妬深い運命の女神とやらにも絶対あんたは渡さない。
刻みなさい、私にその烙印を。同じ位激しい証をあんたにあげるから。」
言いざま、は彼の首へと両腕を巻きつけ、自らの唇を元親のものへと押しつけた。
重ねられただけの接吻は、即座、深く濃厚な口づけへと変化する。
熱く湿り気を帯びた吐息は互いの口内を一気に満たした。
絡めた舌は強弱をつけ吸いつき、まるで軟体動物の様に互いを翻弄する。
そうしながら、は元親の衣服を着実に乱していた。
既に彼女の着物はその本来の意味をなしていない。
白い肌や扇情的な曲線が惜しげもなく晒され、元親の情欲は上昇の一途を辿っていた。
の手によって肌蹴させられた元親の上半身。
彼の肌は女人と見まごう如く透き通っており、
されど確実に男として均整の取れた筋肉で構成されていた。
既に汗ばみ始めている彼らの肌。
密着し合い、互いの熱と重なることで、益々膨れ上がる欲。
息を乱した二人は唇を離し、視線を絡め合う。
「、望み通りあんたのその身に刻んでやろう。そして受けてやる、あんたからの証を。」
「交渉成立。元親、いつかあんたにこの椿の話をしてやるわ。」
「ああ、だが今は――――」
「ええ、今は、まず、証を。」
フッ。
彼らは共に笑みを浮かべ、再び互いに熱を与えあったのだった。
(了)
後書き
初元親夢でした。・・・予想以上に短い話に。
キャラを変えては同じシチュで何本か書いてます(苦笑
自覚はあるんですけどね・・・。しかし元親難しかったです。ううーん。
精進あるのみ。しかし無双キャラ・・・『あんた』呼び多いな(笑
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有難うございました
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